ここからは実際の特定調停の手続きについての解説になります。
以下は申立人が実際に借金を返済することができなくなり特定調停を考えている段階から実際に特定調停の申し立てをし、その裁判所の中での手続きの流れ、裁判所で締結された調停調書により返済を行っていくまでを詳細に解説していくことにいたします。
特定調停の要件
特定調停を申し立てるには、支払い不能に陥る可能性がなくてはなりません。
しかし、この要件は厳しく判断されるわけではありませんので、ある程度債務があればいいので、それほど厳密に考える必要はないでしょう。
ただ、特定調停では元金に関しては返済していくことになりますので、まったく収入がない場合には特定調停を申し立てることはできません。
特定調停を申し立てる場合の問題点は任意整理の場合とまったく同じだと考えればいいでしょう。
特定調停では不動産や自動車を担保にしてローンを組んでいる場合や保証人が付いている債務がある場合でも手続きをすることができます。しかし、このような場合に不動産や自動車を担保にしてローンを組んでいる場合や保証人が付いている債務を除いて手続きができるだけで、不動産や自動車を担保にしてローンを組んでいる場合や保証人が付いている債務についても特定調停の手続きができるわけではありません。
また、銀行などの利息が低いところで借金をしている場合は元金が減ることはありませんので、特定調停はあまり効果的な債務整理の方法ではありません。
そして、特定調停を行う上での1番の問題点はやはり実際に返済していくことが可能かということになります。債務の総額が600万円の場合で利息制限法に引き直し400万円程度まで減額できたとしても3年間(36回)で返済していくためには月々11万円程度が必要になってしまいます。
特定調停に関しても自己破産や民事再生と同じように申し立てるまでの間は、債務者本人に対しての電話による取り立てと、債務者本人の自宅への訪問による取り立ては違法ではありません。
なお、特定調停も自己破産と同じように司法書士または弁護士に依頼した場合には、各債権者は依頼人に対して直接取り立てをすることができなくなります。依頼を受けた司法書士または弁護士は事件を受任した旨の通知を各債権者に送ることになり、各債権者がその通知を受け取った時点から依頼人は債権者からの厳しい取り立てから解放されることになります。
特定調停の申し立ての準備では、まず1番最初にすることが債権関係(借金の残高など)の情報収集になります。特定調停を申し立てる場合の申立書に債権者の名前、住所、契約内容、借金の残高などの債権関係の情報が記載事項になります。(特定調停申立書一式は各簡易裁判所の窓口でいただけると思いますので、申し立てをする裁判所に直接問い合わせてみてください。)
なお、専門家に依頼した場合には債権者に直接交渉して債権者から債権関係の証明書を出してもらうことになりますので、依頼人は何もする必要がありません。
ここでは、特定調停の申立書作成について解説していきます。(特定調停申立書一式は各簡易裁判所の窓口でいただけると思いますので、申し立てをする裁判所に直接問い合わせてみてください。)
特定調停の申立書は各裁判所によって様式が違います。
書き方については申立書の内容に従って記入していくような形式になっています。
大体の内容は申立人の住所、氏名、連絡先、相手方の住所、氏名、連絡先、申し立ての趣旨、家族の状況、申立人の収入、借金の時期、総額や使途、現金、預貯金、有価証券などの申立人の財産、債権者との状況などが記載事項になります。
申立書に添付する必要書類は各簡易裁判所の申立書の内容や申立人の状況によって違いがありますが、ここでは一般的な場合の必要書類を以下のリストに記載いたしました。
1.戸籍謄本
2.住民票
3.給料明細書・源泉徴収票
勤務先から給料をもらっている場合には必要になります。
4.公的な援助を受けている証明書
年金や生活保護などの公的援助を受けている場合には必要になります。
以上の書類以外にも、必要に応じて集めなくてはならない書類が違ってくる場合もありますので、細かいことは申し立てをする裁判所に直接問い合わせてみてください。
特定調停は原則として債権者の住所、営業所を管轄する簡易裁判所に申し立てをすることになります。通常の場合であれば債権者は営業所をいくつも持っていますので、本店ではなく取り引きをした営業所を管轄する簡易裁判所に申し立てることになります。なお、債権者が複数ある場合には1つの裁判所にまとめて特定調停を進めることになります。
特定調停は裁判官である調停主任と、2人の民事調停委員で組織される調停委員によって行われます。
特定調停の申し立てがあると各債権者に対して申し立てがあった旨の通知がされます。
なお、この通知が届いた後の取り立ては法律で禁止されています。
この後、裁判所から調停の日が通知され債務者、債権者の両方が出頭して話し合いが行われます。調停委員会は債務者、債権者の両方の言い分を聞くことになります。
話し合いを行い、債権者と債務者の間で返済計画の合意がなされたら、調停が成立し調停調書が作成されます。
各債権者への返済については調停調書の内容に従って返済をしていくことになります。
ただ、特定調停で合意が成立した場合に作成される調停調書には裁判における判決と同じ効力がありますので、債務者が支払いを怠った場合には、すぐに給与などの差押えができますので注意が必要になります。
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